「140字SS名刺」は、当初「140字小説活版カード（ほしおさなえ×九ポ堂）」のデザインを元に作成し、公開していましたが、多くの方からデザインの類似性を指摘されるとともに、利用規約が整っていなかったため、利用者からの問い合わせに対応しきれなくなりました。そこでいったん公開を停止し、デザインと利用規約の見直しを行うことにしました。
公開当時から、ほしおさんのカードを参考にしたことを明記していましたが、ほしおさん、九ポ堂さんには連絡していませんでした。利用者の方から、デザイン利用の許諾に関する問い合わせを受け、ほしおさんに連絡を取ったところ「基本的な文字組によるものなので、使用してもらってかまわない」とのお返事をいただきました。
しかし、その件をサイトで「デザイン模倣の許諾を得ている」と表現したため、利用者に「このレイアウトを使用するのにほしおさんの許諾が必要」「レイアウトに権利が発生する」という誤解を与えてしまいました。また、その後も類似性への指摘は続き、開発者として「権利の問題ではなく、レイアウト用のツールである以上、オリジナルに寄りかかったレイアウトは適切ではない」と判断しました。
ほしおさんにもご相談し、再スタートに向けての方針を検討しました。ツール停止前にほしおさんからいただいていた要望は「自分の名前を使うなら、企業による商用利用を避ける規約を設けてほしい」というものでしたが、新たに「類似性を下げ、ほしおの名前を外して独立させた方がツールにとって良いのではないか」というご指摘をいただき、こちらの意向とも合致いたしました。
類似性に関しては、
・デザイン１が「名刺サイズ・１４×１０の文字組・紙面上部への配置」と、元のレイアウトとかなり似ていること（さらにモデルであると明記していること）。
・数種類あるレイアウトのすべてが１４×１０の変形であること。
の２点が指摘の要因であると考え、文字組のバリエーションを増やし、ツールにふさわしいニュートラルで自由度の高いレイアウトを考案することにしました。また以前より１４０字以上の文字数への対応を求める声も多かったため、さまざまな文字数に対応できる仕様としました。
公開当初は、開発者周辺の少人数の利用しか想定していなかったため、規約も簡易なものしかありませんでした。利用者が予想を超えて増大し、利用目的や利用法に広がりを見せたため、画像の著作権、商用利用、イベントやSNSでの利用法などに関する問い合わせ・指摘を多数いただきました。開発者の想定していなかった問題も多く、類例を調べた上で、ツールの責任範囲を明記し、注意事項（想定されるトラブルなど）を追記することにしました。
基本的に「画像をレイアウトするツール」ではなく、「文章主体のツール」ですので、「画像のみでの利用は不可」とお願いしています。また、あくまでもレイアウト用のツールですので、 ツールの責任は画像の生成まで、作成した画像の利用は各人の責任、と自覚を持ってご利用ください。
ただ、作品を印刷したものをイベントで配布する際の決まりなど、ツール使用者が知らないかもしれない情報も寄せられましたので、注意事項として取り上げることにしました。新たな事例のご報告をいただいた場合は追記していきます。
ツールの再公開に先立ち、ほしおさなえさんからコメントをいただきました。ありがとうございます。
新デザインを拝見しまして、類似性はないと感じました。引用元としての記載も外していただいて問題ありません（公開前にご相談いただいていたわけではないので引用元として掲げられることに戸惑いがありましたし、開発にかかった手間を考えると広告を貼っていただきたく、、、外していただいた方がすっきりすると感じていました）。
また行き違いから誤解を与えてしまいましたが、わたしとしては名刺サイズや１４×１０の文字組に権利を主張する気はありません。新ツールでも使い方によって１４×１０の文字組を生成することができるとのことですが、ツールを使った場合も、独自にレイアウトする場合も、ネットでの公開、印刷物の配布、販売ともわたしの許可を取る必要はありません。
主観ですが、ツールの自由度が上がり、表現の幅が広がると感じました。面白いツールだと思いますし、たくさんの方がこうした表現を楽しんでいるのはとても良いことと思います。ただ、利用法に関してはNGの事例がいろいろあるようですので、規約の注意事項に目を通していただきたく思います。